転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「部下のスティフの婚約者の妹から貰った。自宅の庭で花作りをしているんだ」
「庭で? その子、すご腕の魔術師だったりするわけ?」
「いや、近くに寄ってもなにも魔力は全く感じなかったな」

 ルーエンは顎に指を当てて考え込んでしまった。少なくともアルフォークには、スーリアが何か意図的に魔力を込めて花を育てているようには見えなかった。エクリードも難しい顔をして花を睨んでいる。

「僕もその花を育ててる所を見てみたいな。スティフ君に頼めばその子に会える?」
「会えるとは思うが、なんなら俺が案内しよう」

 アルフォークの申し出にルーエンは驚いたように目をみはると、ニヤリと笑った。

「ふーん。アルが女の子のところに案内するって言い出すなんて、珍しいね。その子、よっぽどの美人なの?」

 アルフォークは基本的に女性が苦手だ。魔法騎士になりたての頃にアルフォークを慕う女性に取り囲まれて服を引き裂かれたり、飲み物に媚薬を仕込まれるという被害が続出してからその傾向が更に顕著になった。
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