転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
アルフォークが帰り際、また花が欲しいと言ったのでスーリアは慌てて用意した。今が一番美しく咲いている花々を選んでシンプルな花束を作る。
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
「はい。スーリアちゃん、これ」
スーリアが花束をアルフォークに渡すと、横にいたルーエンが何か小さな物をスーリアに差し出した。受け取ると、革紐に小さな茶色い石が付いている。
「土属性の魔法石だよ。花をそだてるなら土を柔らかくするのに役に立つと思うよ。今日のお礼」
スーリアはそれを聞いて驚いた。魔法石は小さな物でもとても高価なのだ。
「そんな高価な物頂けません!」
「大丈夫。僕、こう見えても王宮筆頭魔術師だから。魔法石作るのなんて一瞬なんだ。よかったらまた僕に花束を作ってよ」
ルーエンは目尻を下げてにこっと笑った。その笑顔を見て、スーリアは手のひらに乗った魔法石に視線を落とした。茶色い小石はどこにでもあるようなシンプルなものだ。