転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
リジェルはスーリアの顔を見て呆れたように笑った。スーリアは慌てて頬を両手で包みこんだ。気付かないうちに締まりのない顔をしていたようだ。気恥ずかしさから頬が熱を持つのを感じた。
「私、花を並べてくるわ」
「手伝ってやるよ」
「ううん、大丈夫! リジュはパン作りがあるでしょ?」
スーリアは片手を振って外に出ると、店の前に花の入ったバケツを並べはじめた。元々趣味で育て始めた花なので、価格はかなり控え目に設定してある。おそらく、それがスーリア花が売れる一番の理由だろう。日本にいたときも店で毎日のように目にしたトルコキキョウにガーベラやカーネーション、アスター……この世界でも花は同じなのだ。
「よし、できた!」
全部並べ終えたスーリアは満足げに頷いた。スーリアの花が並んだレッドハットベーカリーはまるで花の中のパン屋さんのように可愛らしく見えた。