砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
「Let's see…maybe there will be a "separate" wedding for men and women?」
〈ちょっと待って…もしかして「男女別」の結婚式ってこと?〉
「「Exactly.」」
〈そのとおりです〉
彼女たちの声が揃った。
——ええぇーっ、見ず知らずの女たちの中で、三日間もどうして過ごせばいいのっ⁉︎
「Don't worry about your security. I’ll take good care of you.」
〈身の安全に関しては心配ありません。わたしが奥様をしっかりとお護りしますから〉
ワファーさんが自信たっぷりに請け負う。
先ほどの堂々とした迅速な対応といい、彼女の腕っ節ならボディーガード役もできるだろう。
——だけど、そういう心配をしてるわけじゃないんだけどね……
「For now, let me show you “how we sit”. Could you please sit like this during the wedding?」
〈それでは、「わたしたちの座り方」をお見せします。式の間はこのようにお座りくださいますか?〉
ファティマさんが改めて座り直した。
踝まである黒装束に隠れてよく見えないが、どうやら膝を左右に開いてまるで胡座をかいているみたいだ。
「Or you can also sit like this.」
〈または、このようにも座ります〉
ファティマさんと同じように胡座をかいていたワファーさんが、片方の足を立て膝にする。
知らず識らずのうちに正座をしていたあたしは、足を崩して胡座の方をやってみた。
アバヤの中でぱかっと足を開いても外からはわかりづらいため、(日本では)見るからにお行儀の悪そうな立て膝より、抵抗感が少なかったからだ。
“When in the desert, do as the Bedouins do.〈砂漠に入ってはベドウィンに従え〉”である。
「Please don't show me the soles of your feet.」
〈足の裏は絶対にお見せにならないでくださいませ〉
正座を崩す際に、ファティマさんから注意された。この地では、足裏を人前で見せることは厳禁なのだそうだ。