砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
「……申し訳ありません。そろそろ、あちらでお願いしたいです」
ムフィードさんが、すーっと寄ってきて、あたしたちを宮殿内へ誘導しようとする。
「あなたは……通訳の人?」
大橋さんがムフィードさんを見て尋ねる。
「はい、そうですが……実は、我が主人のfoster brotherでもあります」
「『foster brother』って?」
「……乳兄弟、だよ」
あたしの問いに大橋さんが答えてくれた。
——ということは、ムフィードさんのお母さんであるサマラさんが、ラジュリーの「乳母」だったんだ……
ムフィードさんの奥さんであるファティマさんが言っていた「|our family's job《家の仕事》」という意味が、ようやく判った。
「パールちゃん、君はなにも知らされてなかったの?」
あたしは……肯くしかなかった。