砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
「まぁ……この国は専制国家であることには違いないから、なかなか情報が掴めなくてね。
だから、僕たちも君を探す際にいろいろと調べて、やっとわかったことなんだけどね」
そう言って、大橋さんは首をすくめた。
「ミスター・マーリク——アミール・イブン・マーリク・アル・ナジュム殿下は、今のアブダビ首長国の首長であるマーリク・イブン・スルターン・アル・ナジュム殿下の長男で、次期後継者と目されているらしい」
——「ラジュリー」という呼び名も「偽名」だったんだ……
「アミール殿下は、Malik Property Developmentの最高経営責任者でありながらアブダビ経済開発省の大臣も兼任している、つまり……王族の一員だ」
——CEOっていうだけでも畏れ多いのに、アブダビ首長国の大臣で、しかも王族だなんて……
「しかも、アブダビ首長国の首長一族は……アラブ首長国連邦を構成する七つの首長国を束ねる『大統領』の職を代々務めているんだそうだ。
ちなみに、ドバイ首長国の首長一族は代々『副大統領』を務めているらしい」
——世界中で大富豪だと称されているドバイの一族よりも、ラジュリーの一族の方が「格上」なんだ……
「ゆくゆくは、アミール殿下がそのUAEの大統領になるだろう」