砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
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広大なカ◯ール・アル・サラブ・デザート・リゾートの敷地内にあるホテルは、まるでアラビアンナイト(おとぎ話)に出てくる宮殿だ。

この国のガチの「皇太子」であることが判明した(しかも、ゆくゆくは「大統領」)ラジュリーは、最上階にあるインペリアルスイートを年間リザーブしていた。

そのインペリアルスイートには、ガーデンパーティができそうなほど広いプライベートバルコニーが備わっていて、はるか遠くを見渡せば太古の昔より変わらぬ広大な砂丘が望める。

夕暮れ時ともなれば、薄暮の空の下ゆっくりと沈んでいく真っ赤な夕陽を、まるで独り占めするかのようにじっくりと拝むことができよう。

そこはきっと、風が運んできた砂の流れとともに悠久の時間(とき)が織りなす、えも言われぬ絶景に違いない。


そして今、あたしたちはそんな眺望が期待できるインペリアルスイートにいるにもかかわらず——

「……日本政府に直訴し外交ルートを通じて、あなたたちへ正式に抗議します」

あたしとラジュリーとの「契約」内容を聞き終えた大橋さんが、きっぱりと言い切った。

「我が国では、民法上で一夫一婦制が明確化されています。そんな国の女性に、重婚どころか『第三夫人』を持ちかけるなんて……
しかも、届けも出さず職場にも知らせない『秘密結婚』とは……」

大橋さんの口調は冷静に思えたが、実はかなり怒っていた。

そして、ガチの王族を前にしても一歩も引くことなく、堂々と言い放った。


「あなたがたは、三浦の人生をどうお考えなんですか?」

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