砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎

インペリアルスイートのリビングルームで、あたしたちは豪奢なソファセットに腰を下ろして話し合いをしていた。

あたしが大橋さんの隣に腰掛けようとしたら、なぜかラジュリーが怖い顔をするので、反対側に回って彼の隣に座ったのだが……


「私の真珠(ルールゥ)、私の妻」

ラジュリーは日本語で答えた。

自分の妻だから、隣に座るのはあたりまえだと言いたいのであろう。


「アミール殿下、この国は宗教のことも含めて、我が国とは違いがありすぎます」

大橋さんは「皇太子」であるラジュリーを見据えて告げる。

いつもは柔らかな笑みを(たた)えた「王子さま」の彼だが、今日は違った。

まるで、隙あらば構えた刀を振り下ろす、というような厳しい眼差しだ。


「先ほども申し上げましたが、我が国では重婚は許されず、妻は一人です。
しかし、殿下はお立場上、ほかにも妻を娶らざるを得ないでしょう?」

そういえば……

第一夫人はfamily(親族)から、第二夫人は敵対していたclan(一族)から、と言っていた。

きっと「政治的」な駆け引きみたいなものがあるんだろう。


——それに、皇太子の彼には……

必ず「後継者」をもうけなければならない使命がある。

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