砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
「パールちゃんが僕の体のことを気にしてくれるなんて……なんだか、しばらく会えなくなるみたいだな」
——あ、マズい。
ものすごくカンの鋭い人だということを、失念していた。
ふだん階下のフロアにいるあたしが、ここにいるだけでもレアなことなのに。
いくら彼が会社の幹部のお偉いさん方の覚えがめでたい人だとはいえ、正式な辞令をもらう前に他言してはいけないのは、会社人としての鉄則だ。
「大橋さんが経営企画部に異動されてから、ほとんど顔も見られてないじゃないですか」
あたしは気取られないよう、努めて冷静に言った。
「それもそうだね」
彼が屈託なくふわりと笑う。
——あぁ、この笑顔も、もうすぐ見納めか……