砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
あたしのことなんて、彼にとっては「後輩」以外の何者でもないことは、百も承知だった。
あたしが彼を「先輩」としてしか見ていないと思っているからこそ、気負うことなく接してくれていることも……
その類稀なる容姿の上に、すこぶる仕事ができて、しかも「御曹司」な彼は、あたりまえだがものすごーくモテる。
社内でも狙っている輩は枚挙にいとまがない。
なのに、少しでも自分に対してそういう意味での「好意」を持つオンナを、彼は軽やかにあしらってスルーする。
決して、寄せつけたりはしない。
もし、あたしが彼に「好きだ」と告げて、自分がそんなオンナに「分類」されてしまうのが……
——怖い。
もうこんなふうに、何気なく話をして微笑んでくれることがなくなってしまうなんて……イヤだ。
とは言え……
数年後、あたしがアブダビから「帰還」した際には、すでにどこぞの「御令嬢」とご家庭を築いているかもしれない。
だったら……
どうせ、しばらく姿を見せることはないのだ。
——後悔のないように、この機会に告白してみようか……?