砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
ムフィードさんの案内で(株)大橋不動産・海外事業本部・アブダビ新都市建設事業室の入居するビルへ入っていく。
オフィスに着くと、四十代に見える日本人と思しき男性が出迎えてくれた。
同じ会社と言っても、海外事業本部とは今まで接点がなかったため、まったく見覚えのない顔だった。
「……東京から赴任しました三浦 真珠子と申します」
あたしは彼に名乗った。
「あぁ、君が三浦さんか。
この度は突然の辞令でたいへんだったね。
アブダビ新都市建設事業室・室長の林です。
あいにく今はメンバーが出払っていて、僕一人だけなんだ。これから、どうぞよろしく」
どうやら、気さくな感じの上司みたいでホッとする。
「林室長、こちらこそ初めての海外勤務で慣れないことが多く、みなさんの足を引っ張ることになるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」
あたしは室長に向かって一礼した。
「あ、ムフィード、三浦さんを連れてきてくれてありがとう。
それに、ちょうどよかった。君を呼ぼうと思っていたんだよ。
……マーリクCEOがいらしていてね。
早速、通訳をお願いするよ」
「わかりました」
そして、室長がムフィードさんを促して、急ぎ足で奥のブースへと進んでいく。
「三浦さんも、ちょうどよかった。
来て早々だけど、早いに越したことはない。
このプロジェクトの陣頭指揮を執っている人物を紹介するから、早速顔合わせしよう」