砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
あたしの所属するマンション事業販売部は、大橋不動産のベリーヒルズビレッジ支店の店舗がある二階にある。
ところが、人事部のある管理部門は四十六階にあった。社長室や重役室のあるフロアだ。
いったんオフィスから出て、ビルのエレベーターに乗って四十六階へと赴く。
「……あら、パールじゃん。どうしたの?」
同期で人事部にいる井上 朋美があたしを見て、不思議そうな顔で尋ねる。
もともと、個人情報を扱う人事部はなにかと法令遵守がうるさいから、一般社員はおいそれとは近づけないのだ。
あたしの名前は、三浦 真珠子と書いて「みうら まみこ」と読む。
キラキラネームではないと思いたいが、生まれてこの方、一度たりとも正しく読んでもらったことはない。
そして、小学生の頃から「真珠」と呼ばれてきた。
(もっとも、男子からは「パールライス」と呼ばれてきたけれど……ムカつく)
「人事部長から呼び出されてんのよ」
あたしがそう答えると、
「えっ、そうなんだ。すぐに部長呼んでくるわ」
朋美は奥にあるミーティングルームへと案内してくれた。