砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
一応、あれから「お詫び」に伺うために、ムフィードさんを通じてマーリク氏のアポを取ろうとしているのだが、一向に埒が明かなかった。
「『真珠』のことだけでそんなに腹を立てるなんてなぁ……室長、マーリクCEOって、もしかして男尊女卑っすか?」
久保さんが「直球」で訊く。
「三浦さんが来るまでは男ばっかだったからなぁ。正直言って、僕にもよくわからないんだ」
室長は困った顔で眉間にシワを寄せる。
「やっぱこの国の人はイスラム教徒だからねぇ。
たとえ仕事であろうと、ムスリムの男は我々日本人のような感覚では女性に接しないってことじゃないの?」
PCを打つ手を止めた前田さんが、コーヒーに手を伸ばしながら言った。
「ムフィードさんは、この国の男性でも全然『普通』に接してくれるんですけどね……」
あたしは肩をすくめた。
——この国には九人も女性大臣がいるって言ってたのになぁ。
民間の規模では「働く女性」はまだまだ認められていないようだ。
するとそのとき、オフィスのドアがコンコンコン…とノックされた。
あたしは入り口へと駆け寄り、ドア越しに「Yes?」と尋ねた。
「私、ムフィードです」
——あら、ウワサをすれば……
あたしはドアを開けて、彼を中へ招いた。
すると、彼は即座に用件を告げた。
「マミコさん、ミスター・マーリク呼んでいます。私と来てください」