砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
ミーティングルームに通されてから、しばらくすると近藤人事部長がやってきた。
五十代の部長は、さすが人事部を任されているだけあって、ゆったりとした所作ではあるが切れ者の印象は隠せない。
「あぁ、三浦さん、こっちから呼び出しておいて待たせてすまなかったね。
ちょっと、急に長澤社長から呼ばれたもんでね」
大橋不動産の現社長は、前社長の二男で歴とした創業者一族である大橋家の一員なのだが、跡取りのいない母方の祖父母と養子縁組したので「大橋」姓でない。
「いえ……それで、どのような御用件でしょう?」
あたしは早速本題に入った。
「三浦さん、君は海外事業部への転属願いを出していたよね?」
——そうだ、ダメ元で人事に出していたんだった。
できれば若いうちに日本以外の国で働いて、自分の力を試してみたかったのだ。
「正式な辞令は後日になるが、その前に君の意思を確認しておきたい」