砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎

「『この国』と言うか……イスラム教徒(ムスリム)です」

ムフィードさんはそう答えて肩をすくめた。

「ほかにも契約書で決めますが……何番目の妻になるかも決めます」

——はぁ?

「ムスリムの男は四人の妻、持てますから」


ああっ、そうだった!

「イスラム教あるある」だ‼︎


「でも、四人の妻持つの、昔の話です。
今、みんな妻一人だけです。
なぜなら、妻四人同じに扱うの、とてもたいへんです。妻四人の契約書作ってお金払うの、とてもとてもたいへんです」

——でしょうねぇ……

それでなくても「結納金(前払い)」と「慰謝料(後払い)」の両方だもんね。

しかも、複数の「wives(妻たち)」をみんな平等に扱わなきゃなんないなんて、たった一人の「husband()」は毎日針の(むしろ)であろう。

「ハーレム」なんて所詮、思い描いて夢見てるうちが花なのよ。


あたしがうんうんと肯いているうちに、ムフィードさんはあわててマーリク氏に翻訳して伝えている。

マーリク氏はまったく日本語がわからないのか、すっかり蚊帳の外状態になっていた。

そして、世界中の苦虫を噛み潰して殲滅させそうな勢いの顔で、あたしたちを睨みつけていた。

プライドがチョモランマ級に高いのか、絶対に(ゆる)せないのだと見える。

——こっ、怖っ!怖いよー。


でも……なんだかめんどくさそうな超絶イケメンだなー。

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