砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎

「You know that…」
〈それはだな…〉

マーリク氏はその超絶イケメンな顔を歪ませて、吐き捨てるように答えた。

「Because my father is always nagging me to get married.」
〈父親から絶えず結婚しろとしつこく言われているからだ〉


いざ聞いてみれば、ものすごーくベタな理由だけれど……

—— 理解(わか)るっ!
(初めてこの人のこと)理解できるわっ‼︎

なぜなら、あたしだって、アブダビ(こっち)に海外赴任が決まったとき、

『そんな辺境の治安の悪い地から、数年間も帰ってこられないなんて……
真珠子、結婚はどうするのっ?女には出産にも適齢期があるのよっ!』

と母親にわんわん泣かれたからだ。

——あぁ、こういうのはお国柄問わず「結婚適齢期男女」の「あるある」なのねぇ……

あたしの目の前に築かれていた、どーんと分厚い国境の壁がガラガラガラ…と崩れていく。


「Mr. Malik, would you mind if I spoke in Japanese? So I’d like to explain her how you feel.」
〈ミスター・マーリク、日本語で話させてもらってもよろしいでしょうか?彼女にあなたのことを説明したいので〉

「Go ahead.」
〈説明しろ〉

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