砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
الفصل ٦⏳
「では、マミコさん」
ムフィードさんが、マーリク氏から受け取った紙をあたしの前に差し出した。
「ここに……signatureお願いします」
あたしはすっ、と背筋を伸ばしてAur◯raの「スタイル」ピンククォーツのボールペンを手に取り、「Mamiko Miura」と署名した。
マンションなど不動産のご契約時に法律で定められている、お客様に対して重要事項の説明を行ったあと、宅建の有資格者として重要事項説明書に記名捺印する際に必ず使っているボールペンだ。
あたしにとっては、無事成約を果たした喜びとともに使うものであるから、縁起の良いボールペンだと思っている。
署名するときにはいつも、やっとここまで漕ぎ着けたか、と感慨深くなるのだが、今回はまた一入である。
——あぁ、本当に、ここまで長かった……