砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
「Jamila, she's the wife I chose.」
〈ジャミーラ、彼女は私が選んだ妻だ〉
マーリク氏はあたしの腰に手を回して抱き寄せたまま、彼女——ジャミーラさんにきっぱりと告げた。
「You know she’s indeed your wife, but…」
〈そうね、確かに彼女はあなたの妻よ、でも…〉
彼がアラビア語ではなく(あたしが理解できる)英語で話してくれたので、ジャミーラさんも英語になった。
「…she’s your "third wife" .」
〈「三番目の妻」だわ〉
私はアラビア語がちんぷんかんぷんなので、ようやく話の意味が理解る。
「So I’m your "First Lady" you must choose.」
〈だったら、わたしはあなたが選ばなければならない「一番目の妻」ね〉
——理解できたのはいいけど、あたしに対する「宣戦布告」だった……
「Don't you remember that I told you I wasn't going to marry you?」
〈君とは結婚するつもりがないと言ったことを覚えてないのか?〉
「Do you know what you're doing? In our family there is no other woman of your age suitable to be your wife but me.」
〈あなたは自分のしていることをわかっているの?わたしたちの一族ではもう、あなたの妻にふさわしい年ごろの者は、わたし以外にはだれもいないのよ〉
——ジャミーラさんは、マーリク氏の『family』の女性なんだ。
そういえば、ムフィードさんが『ムスリムの妻、一番目はfamilyです』って言ってたなぁ。
さらに、マーリク氏が父親から勧められた「許嫁」をすべて拒否してきた、とも言っていた。
「She'll be able to go to bed with you, but she won't be able to go to your father. Isn't that right?」
〈彼女はあなたとベッドへは行けるでしょうけど、あなたのお父さまのところへは行けないわ。そうでしょう?〉