砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎

「Jamila, she's the wife I chose.」
〈ジャミーラ、彼女は私が選んだ妻だ〉

マーリク氏はあたしの腰に手を回して抱き寄せたまま、彼女——ジャミーラさんにきっぱりと告げた。

「You know she’s indeed your wife, but…」
〈そうね、確かに彼女はあなたの妻よ、でも…〉

彼がアラビア語ではなく(あたしが理解できる)英語で話してくれたので、ジャミーラさんも英語になった。

「…she’s your "third wife" .」
〈「三番目の妻」だわ〉

私はアラビア語がちんぷんかんぷんなので、ようやく話の意味が理解(わか)る。

「So I’m your "First Lady" you must choose.」
〈だったら、わたしはあなたが選ばなければならない「一番目の妻」ね〉

——理解できたのはいいけど、あたしに対する「宣戦布告」だった……


「Don't you remember that I told you I wasn't going to marry you?」
〈君とは結婚するつもりがないと言ったことを覚えてないのか?〉

「Do you know what you're doing? In our family there is no other woman of your age suitable to be your wife but me.」
〈あなたは自分のしていることをわかっているの?わたしたちの一族ではもう、あなたの妻にふさわしい年ごろの者は、わたし以外にはだれもいないのよ〉

——ジャミーラさんは、マーリク氏の『family』の女性(ひと)なんだ。

そういえば、ムフィードさんが『ムスリムの妻、一番目はfamily(親族)です』って言ってたなぁ。

さらに、マーリク氏が父親から勧められた「許嫁」をすべて拒否してきた、とも言っていた。


「She'll be able to go to bed with you, but she won't be able to go to your father. Isn't that right?」
〈彼女はあなたとベッドへは行けるでしょうけど、あなたのお父さまのところへは行けないわ。そうでしょう?〉

< 82 / 154 >

この作品をシェア

pagetop