砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
——あぁ、こんなことなら、ワインもらっておいた方がよかったかなぁ……
とうとうDessertが終わり、Cafeも飲み終わってしまった。手持ち無沙汰感が半端ない。
世界各地の人たちを相手に仕事をしているマーリク氏であるが、やはり彼はムスリムだけあって、お酒はいっさい呑まない。
でも、外国人のguests用に一応ワインなどの酒類を常備しているらしくあたしも勧められたが、もともとそんなにお酒が強くないこともあって丁重にお断りしていた。
だからと言って、目下どんなにヒマであろうと、ジャミーラさんが同席して「話し相手」になってくれていた方がよかったとはまでは、到底思わないけれども……
ムフィードさんによると、ジャミーラさんはマーリク氏の親戚筋の娘であるそうだ。
彼女が言ったとおり、マーリク氏が「第一夫人」候補を片っ端から拒否しまくったために、彼女以外の同年代の一族の娘たちはすでに嫁入っているらしい。
第一夫人が決まらなければ、敵対関係に近いほかの一族の娘と「政略結婚」しなければならない「第二夫人」も決められないから、マーリク氏の父親は相当焦っているとのことだ。
——そんな状況下にもかかわらず「第三夫人」を真っ先に決めちゃった、というわけね……
あのあと、激昂したマーリク氏によってジャミーラさんは追い出されたのだが、
『I'll see you tomorrow at your office.』
〈では明日、あなたのオフィスで会いましょう〉
というさらにマーリク氏の怒りに油を注ぐ言葉を残し、妖艶に微笑みながら去って行った。