砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
「It would be a great way to get away from Jamila for a while and kill two birds with one stone.」
〈これならジャミーラからしばらく逃れることができるし、まさに一石二鳥のすばらしい方法だ〉
先刻までの不機嫌さがウソみたいに消えたマーリク氏が、満足げに微笑んだ。
と言っても、ジャミーラさんがいたときに「とろけるような笑顔」をあたしに向けていた人と同一人物だとはとても思えない「地獄の大魔王」のごとき真っ黒けっけな冷笑だったけれども……
「大丈夫ですよ、奥様」
打って変わって、ムフィードさんがあたしに穏やかな笑みを向ける。
「砂漠に私の妻、行きます」
「えっ?」
「私の妻、あなたの世話します。desertで英語話せる人、ほとんどいません。私の妻は英語を話すことできます」
「で、でも……お子さんたちが……」
彼らには子どもが二人いるはずだ。
——お父さんだけじゃなく、お母さんまで家を空けさせるなんて……
だけど、ムフィードさんは静かに首を左右に振った。
「問題ないです。妻の母、子どもたち見ます。
奥様は気にしないでください」
——それでも、ムフィードさん家のお子さんたちには申し訳ない……