砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
「えーっと……先刻から気になってたんですけど『アキーラ』ってなんですか?」
日本語だと男性の名前のような響きなので、ちょっと違和感が……
「あなたはミスター・マーリク……我が主人の妻になりました。だから、これからは奥様と呼びます」
「ええっ、今までどおり『マミコさん』でいいですよ!」
あたしはびっくりして言う。
マーリク氏の「日本語の先生」にもなったからだろうか?律儀な人だ。
しかし、またムフィードさんは静かに首を左右に振った。
——あぁ、あたしはこの地では「人妻」になっちゃったんだなぁ……
日本の大使館に届け出もしないし、正式に結婚式を挙げて祝福されることもない「第三夫人」だけど。
「…Oi! What are you lot talking about?」
〈…おい、おまえたち、なにを話してるんだ?〉
マーリク氏が、あたしとムフィードさんを極寒の目で睨んでいる。
あたしの「夫」の機嫌が、また急降下していた。