幸せを運ぶ尻尾
高校一年生の朝吹棗(あさぶきなつめ)は、非常に困っていた。
日曜日の午前十時、家の呼び鈴が鳴らされたのでドアを開ければ、「guten Morgen!」と言いながら金髪高身長美女が大きな犬を連れて立っていたのだ。犬を見た瞬間に、棗の顔は苛立ったようなしかめっ面になる。
「……何のご用ですか?同じクラスのカルラさん」
最近、ドイツからやって来た転校生のカルラ・バイルシュミットを棗は睨み付ける。しかし、カルラは睨み付けられているというのにニコニコと笑い、カルラの横で犬も尻尾を千切れんばかりに振っている。棗は込み上げてくる感情を何とか押さえ、「用はないみたいですね。失礼します!」と言いドアを閉めようとする。
「Nicht gut!まだ私、用件言ってない。閉めるのダメ」
カタコトの日本語を話しながら、カルラはドアの隙間に長い足を突っ込み、ドアにもしっかりと手をかけて閉められないようにする。
「なら、さっさと用件を言ってください!」
日曜日の午前十時、家の呼び鈴が鳴らされたのでドアを開ければ、「guten Morgen!」と言いながら金髪高身長美女が大きな犬を連れて立っていたのだ。犬を見た瞬間に、棗の顔は苛立ったようなしかめっ面になる。
「……何のご用ですか?同じクラスのカルラさん」
最近、ドイツからやって来た転校生のカルラ・バイルシュミットを棗は睨み付ける。しかし、カルラは睨み付けられているというのにニコニコと笑い、カルラの横で犬も尻尾を千切れんばかりに振っている。棗は込み上げてくる感情を何とか押さえ、「用はないみたいですね。失礼します!」と言いドアを閉めようとする。
「Nicht gut!まだ私、用件言ってない。閉めるのダメ」
カタコトの日本語を話しながら、カルラはドアの隙間に長い足を突っ込み、ドアにもしっかりと手をかけて閉められないようにする。
「なら、さっさと用件を言ってください!」
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