幸せを運ぶ尻尾
棗はつい、怒ったような声で言ってしまった。しかし、この場から一秒でも早く逃げたいため、このような声になってしまう。早く自分の視界から、犬を遠ざけたいのだ。

「私と一緒に、この子の散歩行ってください!最近、犬と一緒に行けるcaféができたと聞いたので!」

ニコニコと笑いながらカルラは言う。棗は「一人で行ってください!」と言い追い返そうとしたものの、たまたま通りかかった母親が「あら?棗の友達?」と聞いたことでそれは不可能となった。

「Ja!私、棗さんの友達です。一緒に遊びに行きたい」

カルラがニコニコしながら言うと、母親は「あら、いいじゃない。わざわざ些細に来てくれてありがとう」と言い棗にかばんを手渡すと追い出してしまう。

「嘘でしょ、お母さん!」

棗が家の中に入ろうとすると、ひまわりの刺繍がされたスカートを犬に素早く咥えられる。そしてニコニコするカルラに腕を掴まれた。

「一緒に行きましょう!」

そう笑うカルラのことを、悪魔のようだと棗は感じた。
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