青い夏の、わすれもの。
「本当に申し訳ございませんでした!謝って許されることではないと思いますが謝らせて下さい!本当に...本当に申し訳ございませんでしたっ!」


楽器をトラックに搬入し終え、全員が集まったところで彼は声を枯らしながら頭を下げた。

わたしは奥歯を噛み、目頭を押さえ、迫り来る痛みと哀しみに堪えていた。

どうして?

どうして、なの?

どうして、神様はこんな酷いことするの?

どうして、意地悪するの?

どうして...

どうして......彼、なの?

どうして、大楽律なの...?

なんにも...

なんにも、してないじゃん。

むしろ誰よりも不器用でも真っ直ぐに音楽に向き合っていたじゃん。

それなのに...

それなのに、なんで...。


「まぁ、大楽も人間だからな、失敗することはある。それがたまたま今日だっただけだ。この経験をこれからの人生に活かしてくれればそれでいい。

...じゃあ、皆もぼちぼち荷物まとめて正面玄関に向かってくれ。帰ったら楽器片付けがあるからな。もう一踏ん張り、頑張るぞ」


先生はなんとか彼を鼓舞し、皆の落ち込んだ気持ちを地上まで引き上げようと声を張り上げた。

先生も期待はしていただろうから、その分ショックも大きいと思う。

けど、顧問という立場上明るく振る舞ったんだ。

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