青い夏の、わすれもの。
「おーい、爽」


あたしが1人脳内会議を繰り広げていると、魁が迷子の子犬みたいな寂しげな目をしてこちらを見ていた。

お手って言えばしっぽを振ってくれるような、そんな従順な犬が欲しい。

あたしのことが大好きで、

リードを引っ張ったらちゃんと隣を歩いてくれるような、

でも時には走り出してあたしのことをめちゃくちゃに振り回すような、

そんな素直でやんちゃで無邪気な犬がいい。

多少世話が焼けてもいいよ。

大型犬でもいいよ。

ふらっとどっか行っても戻ってきてくれるなら許すよ。

だからさ、

側に来てよ。


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