青い夏の、わすれもの。
30分ルールを大幅に無視して水族館の入り口に戻ると、そこには澪と大楽がいた。


「爽!良かった。いなくなったから帰っちゃったのかと思った」

「あはは。ごめんごめん。ちょっと海風を感じたくなっちゃって外行ってた」

「顔、どうしたの?もしかして...」


あたしは唇に人差し指を当てた。


「シーッ。そのことには触れないで。あとで話すし、今から化粧直すから」

「ならわたしも着いていっていいかな?爽に話したいことがあって」

「あ、うん。分かった」

「ごめんね。ありがとう...」


澪の矛盾したその言葉たちが妙にあたしの胸に留まった。

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