青い夏の、わすれもの。
あたしは魁への気持ちを伏せてビービー泣いたことを話した。

その理由は、昨日美容専門学校に進学を決めたあたしに対する両親の意見の不一致が原因で2人がケンカしたのを思い出して悲しくなったから、ってことにした。

もちろんこれは全くもってのデタラメである。

父も母もあたしの進路には満足している。

バカだから大学に行かせるのは諦めていたけど、やりたいことがあって手に職つけられるならいいって、そう言ってくれてる。

だから、進路に関してはびっくりするくらいなんの問題もない。

嘘をついてしまったことは両親に対しても澪に対しても申し訳ないけど、こうするしかなかった。

ごめんね、皆...。

あたしは心の中で合掌をしてから、崩壊した目元を再び飾り始めた。


「で、澪は?話って何?」


マスカラが取れ、目の下にくまが出来ていたからメイク落としシートで丁寧に拭きあげ、軌道修正を図る。

澪はあたしの隣に立ち、鏡から目を反らして話し出した。


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