青い夏の、わすれもの。
辿り着いたのは、朝の集合場所だった。

ベンチに腰掛け、顔を両手で覆った。

洪水の時、マンホールを突き破って水が溢れてくるように、私の気持ちも一気に形になって溢れた。

脳裏に浮かぶのは、ペンギンを愛しそうに見つめる山本さんをさらに愛しく見つめる律くんの姿...。

律くんの視界の真ん中にいるのは、

律くんの心を大きく占めているのは、

私じゃない。

......山本澪さんだ。

私の初恋は、終わったんだ。


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