青い夏の、わすれもの。
「はぁはぁはぁ...深月、さん...」


私はその声を聞いて思わず顔を上げてしまった。

涙でぐにゃぐにゃになった世界ではっきりとその存在を認識出来た。

私は必死に手の甲で涙を拭う。

何度も何度もこんなみっともない顔、見せられない。


「深月さん、もういいよ。そんな必死に拭わなくていい」


彼はそう言うと、私の隣に腰を下ろし、その右手で私の肩を抱き寄せた。


「えっ?ちょ、ちょっと...」


私はびっくりして咄嗟に離れようとしたけど、肩にかかる力が強くて抜け出すことが出来なかった。


「落ち着くまでこうしてる。だから、思う存分泣いていい。全部おれが受け止めるから」


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