青い夏の、わすれもの。

澪side

大会が終わったかと思ったら次は定期テストが待っていた。


「ねぇ、澪~。この問題教えて~」

「え~、私分かるかなぁ?」

「澪なら出来るよ!お願いっ、あたしを救ってくだせ~」


と爽にせがまれるものだから、私はテストまでの1週間、毎日昼休みを使って勉強を教えた。


「澪は教え方が丁寧で分かりやすい」なんて言われたけど、吹奏楽部の後輩には何も言われたことがないから、爽のお世辞だと思う。

それでも一応爽の赤点を回避する手助けは出来たみたいで、爽は半泣きしながら私に感謝を伝えてきた。


「澪、ありがとね!澪のお陰で赤点免れたわ」

「そんなことないよ。爽の努力が実を結んだんだよ」

「えへへ。そうかな~」

「うん、そうだよ」


私が心から爽の努力を称えると、爽は顔を綻ばせた。

誉められて、きっとものすごく嬉しいんだと思う。

特に今回はいつもよりも熱心に勉強してたからね。

放課後残って勉強してたの知ってるよ。

私はドアの影から黙って見守っていた。

でも、そのことは言わないでおく。

だって、そうした方が爽のプライドを傷付けずに済むと思うから。

陰ながら努力してるのカッコいいからね。


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