青い夏の、わすれもの。
――パチパチパチパチ...。


......あ。


気づいた時には既に手遅れだった。

わたしはさつまくんの講演さながらの演説に舌を巻き、拍手を送っていた。


「なんか共感したというかなんというか...とにかくさつまくんの話が凄すぎて、拍手しちゃいました...」


さつまくんはまたふふっと笑った。


「こんなところで拍手するやついるか?」

「いないと思う...」

「普通の幸せとか言ってるわりには普通以上のことするのな。

あのさ山本。自分では気付いてないと思うけど、結構お前面白いから。

なんか人とズレてるっていうか...。そういうとこがオレのつぼ」


そう、なんだ...。

まぁ、笑い飛ばしてもらえるだけマシか。

ポンコツでも人を笑顔に出来るのであれば、良いだろう。

そう思うしかない。


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