青い夏の、わすれもの。
「罪悪感も劣等感も全部あの2人由来か?」


わたしはこくりと頷いた。


「あくまでオレの主観による見解だけど、山本は...朝吹くんのことが好き。
だが、朝吹くんは深月さんが好き。
2人はお似合いだから、わたしは邪魔しちゃいけない。
そこから来る罪悪感と、完璧な深月さんを比べて劣等感を覚えた」

「すごい...合ってる」

「3年も一緒にいたら、分かるようにもなる」


そうさつまくんは言ったけど、わたしは人の感情を読むのが苦手だから、全然分からない。

現に今、目の前にいるさつまくんがどんな想いでわたしの気持ちを代弁しているのかもさっぱり分からない。


「それともう1つ山本は爆弾を抱えている。それが...冴島くんだ」

「な、なんでそれを...」

「なんでって、あんな堂々と山本を指名していれば大抵の人間は勘づく」


そう、なのか...。

もう皆にバレバレだったってことか...。


「で、冴島くんのことはどうしたい?」

「それは...」


わたしは口をつぐんだ。

言ってしまえばその通りにしなければならなくなる。

言わなければ決断を先延ばしに出来る。

それで良いわけないし、さっきも結局選択出来なくて魁くんに迷惑をかけてしまった。

いつの日か、爽に言われたことを思い出す。


――期待させるのも良くないよ。

――長く待たせておいてごめんなさいじゃ、むしろそっちの方が失礼だよ。


その通りだと気づいていたのに、もう答えを1ヶ月以上も保留にしている。

このままで良いはずがない。

それも頭では分かっていても行動に移すことが出来ない。

わたし、やっぱり弱虫だ。

意気地無しだ。

こんなことでいつまでもいつまでも悩んで...。

正解なんてどこを探してもないのに、

なぜ求めてしまうのだろう。


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