青い夏の、わすれもの。
「朝吹くんのことが好きな時点で答えは決まってる。山本は冴島くんの気持ちに答えることはできないんだ。いい加減、諦めた方がいい。誰も傷つけないで生活出来る世界なんてこの世には存在しない」

「分かってる。分かってるよ。けど...」

「分かってない。山本は...何も分かってない」


天気雨のように、一瞬にしてさつまくんの表情が変わった。

さっきまでの冷静で中立な物言いから、強い意思を孕んだ声音になっていた。

わたしはびくっとしたけど、さつまくんが誰よりも熱い人だと思い出した。

青白い炎のように一見すると冷たそうに見えるけど、本当は触れられないほどに熱いんだ。

さつまくんはゆっくりと口を開いた。


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