青い夏の、わすれもの。
「山本は永瀬さんの親友だよな?」

「うん...」

「なら、分かってもいいはずだ。永瀬さんの気持ち、山本は考えたことがあるか?」

「爽の気持ち...?」


爽の...

爽の、気持ち...。


わたしの脳裏に浮かんで来たのは、野球部マネージャーとして野球部の皆を支える母親のような爽の姿だった。

だけど、その起源をわたしは考えたことがなかった。

どうして野球部のマネージャーになったのか。

どうしてそこまで野球部のために尽くせるのか。

どうしてそこまで野球が好きなのか。

それって...

もしかして......。


点と点が1本の線になる。


野球...

マネージャー...

幼なじみ...


爽は

もしかして......。


「爽は......魁くんのことが......好き...?」


嘘...。

そんな...。

そんな単純なことに今まで気づかなかったなんて。

わたし、バカだ。

大バカだ。

いつだって爽は魁くんの側にいて

1番近くで見ていて

誰よりも支えていたのに、

それなのに...

わたしは気づかなかった。

そして、それだけ努力してる爽よりもわたしが選ばれてしまった...。

そんな...

そんなの、ダメだよ。

なんで、わたし、なの?

どうして...?

どうして、なの?

どうして、爽じゃないの?
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