青い夏の、わすれもの。
わたしとさつまくんは館内をぐるりと1周したけど、誰の姿もなかった。

仕方なくまだ見ていなかったところをさらーっと見てから入り口に戻ってきた。


「ラインはした?」

「したけど既読つかない。ほんと、皆どこ行っちゃったんだろう...」

「それぞれ上手く行ってるといいが」

「...だね」


なんて言いながらも喉の奥が苦くてイガイガするのは、まだ少し諦めきれない気持ちがあるからだ。

だけど、もう終わりにするんだ。

わたしは自分の気持ちにピリオドを打つ。

そう決めたんだ。

もう...迷わない。

わたしは真っ直ぐに歩いていく。


そう心に誓い、顔を上げた、その時だった。

自動ドアが開き、その向こうに爽と魁くんの姿が見えた。

わたしは安堵し、勢い良く爽に駆け寄った。


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