青い夏の、わすれもの。
「爽に抱き締めてもらう資格、わたしにはないよ」

「なに言ってるの?あたしと澪は親友じゃない。お互いが辛い時に1番に力になるために親友がいるんだよ。なのに、そんなこと言わないでよ」


わたしは首をぶんぶんと振った。


「わたし、爽の親友失格だ。爽の気持ちに今まで気づけなかったから...。爽のこといっぱいいっぱい傷つけた...」

「さっきから何言ってるの?」


爽の手のひらがわたしの頬に触れる。

爽はわたしの頬を伝う滝のような涙をなぞった。

その手の温もりにわたしはさらに涙腺が緩み、津波のように押し寄せる感情をまるごと涙に変えて伝えた。


「爽...魁くんのこと...好き、だよね?」

< 227 / 370 >

この作品をシェア

pagetop