青い夏の、わすれもの。
「爽...爽の気持ちに気づけなくて、相談なんかしちゃって、本当にごめん。ごめんね、爽...」

「謝んないでよ。澪、なんも悪くないじゃん。ってか、誰も悪くなんてないんだよ。悪いのは...こんなシナリオを書いちゃう神様だけだよ...」


爽はわたしを抱く腕に力を込めた。

爽は本当はわたし以上に泣き虫だ。

がんばり屋さんなのはいいことだけど、頑張り過ぎて色々なものを抱えてしまう。

けど、弱味を見せたくないって思うような子だから、爽は人前で泣いたりしない。

もちろんわたしの前でも。

でも、これからは思う存分わたしの前でも泣いてほしい。

弱いとこ見せてもわたしが全部受け止めるから。

不器用で強がりでがんばり屋さんな爽には、ちょっと抜けててポンコツだけど包容力は有りそうなわたしが必要だと思う。

わたしは爽の言葉を全て飲み込む覚悟をした。


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