青い夏の、わすれもの。
「あたしはね、澪のことも魁のことも大好きだよ。どっちも失いたくないんだよ。

だから...だからさ、澪、あたしの側にいて。

親友失格だなんて言わないで。1人で決めつけないで。

あたしは...あたしはね、澪だから親友になりたいって思ったんだよ。
どんなことにも真っ直ぐでピュアで、けどちょっと不器用な澪が良いって思ったから友達になったんだよ。

あたしが選んで友達になったんだから、澪は自分のこと責めなくていい。
仕方ないことなんだから。

恋はさ、理屈も正解もない学問なんだから。

あたしが魁を好きで、魁が澪を好きでも、あたしは...あたしは澪の親友でいたいよ」

「爽...っ!」


わたしは爽の胸に額を押し当てて泣いた。

泣いて、泣いて、泣いて、声が枯れるまで泣いた。

爽もわたしと同じくらい、いや、それ以上に泣いた。

こんなにも涙を流したのは17年の人生の中で初めての出来事だった。

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