青い夏の、わすれもの。
「やっぱ生徒会副会長さんは素晴らしいですね~。頭の回転が早くて感服しました~」


あはは~と作り笑いを浮かべながらも、その顔からは視線をずらさない。

表情の1つも取り零してはならない。

あたしは今キャッチャーなんだ。


「そうですか?生徒会の仕事も慣れれば簡単ですよ。私にとっては野球部のマネージャーをしている永瀬さんの方が素晴らしいと思います。私には他人のお世話なんて出来ません」

「はは~。そりゃどうも」


さりげなく能力の高さをアピって、直後にあたしを誉めて上げておく。

これはこれは策士ですな。

見た目通り、噂通り、賢い人だ。

悟られないように崩していくしかない。


「マネージャーって、なかなか大変なんですよ~。

仕事多いし、ユニフォーム臭いし。

野球部男子カッコいいなんて言う人もいますけど、あたしがいないところでは男子だけになりますよね?

そうなるともう下ネタばっかなんですよ。

あの女子可愛いとか、何組の誰々ちゃんとヤりたいなんて、そんなしょーもないことばっか喋ってるんですよ~。

ほんと、理想と現実は違いますね~」

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