青い夏の、わすれもの。
あたしは気を取り直して見慣れた道を歩き出した。

魁が隣に並ぶ。

太陽に照りつけられて出来る影は凸凹していてなんだか妙にドキッとした。

身長差にキュンというのは、こういうことなのだろうか。


「あ、そうだ。爽足疲れたら言えよ」

「え?」

「下駄だと疲れんだろ?」

「あ、うん。ありがと...」


魁はさらっと言ったけど、あたしの胸にはグサリと突き刺さった。

キュンを通り越してギュンって感じだ。

たまに見せるさりげない優しさがあたしの胸をこんなにも騒がしくする。

あぁ、こんなんで持つかな...。

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