青い夏の、わすれもの。
言うなら今日だと思って昨日は1日中原稿を書いていた。

何度もノートに台詞を書いては消し、ノートの見開き1ページは真っ黒になった。

やっとこさで原稿を完成させたのは、夕方だった。

昼間にアイスしか食べなかったせいでエネルギー切れになり、お腹が盛大に鳴った。

それでも、あたしにはまだやるべきことがあった。

それは、音読練習。

マネージャー時代は毎日大声を出していたけど、だいたいは単語を叫んでいた。

畏まった文章的なものを読むのは、国語の音読の時間くらい。

でも、夏休みに入って授業もなくなり、1日中家に1人だと話しもしないから、口と舌が鈍っていた。

あたしはお経を唱えるように台詞を読んで頭に叩き込み、そこから感情を乗せた。

あたし、声優になれるんじゃない？

なんて、調子の良いことばかり考えて自分を鼓舞していた。

血の滲むような努力の成果、ちゃんと発揮出来るかな？

ってか、いつ言おうかな？

悩みは尽きないけど、もう迷わずに進むしかない。

炎天下の下、あたしたちは水辺の会場に向かって、ひたすらにカラカラと下駄の音を鳴らした。

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