青い夏の、わすれもの。
が、しかし...

見つけることは出来なかった。


「ったくもぉ!どこ行ったのよあのバカは!」


やけ酒ならぬ"やけラムネ"をごくごくと飲み、ぷは~っと豪快に息を吐いた。


「勝手に帰ったわけじゃないよね?」


あたしはラインにメッセージを送ったけど、5分待っても既読は付かなかった。

おそらくスマホ自体触ってもいないのだろう。

一体どこをほっつき歩いてるわけ?

年頃の女の子を置いてどこ行ってるの?

心配しなさいよ、バ魁っ!

寄り道ばっかして、1番近くにいる大切な存在を忘れてるんじゃないの?

って、それはもちろんあたしのことなんだけど。

灯台元暗しとかいうけど、まさにそれじゃないのかってあたしは思ってる。

ってか、思いたいんだよね。

だってそういう風に前向きに捉えないと、本当にあたしはただの幼なじみで終わってしまう。

足元の花に目を向けるようにするにはどうしたらいい?

一体どうすれば魁はあたしだけを見てくれるようになるのだろう。


なんてことを考えていると、背後から下駄の音が聞こえてきた。

あたしはもしや...と期待して振り返った。

< 247 / 370 >

この作品をシェア

pagetop