青い夏の、わすれもの。
「こんばんは~。君、もしかして1人?」


...げ。

あたしはナンパ野郎と目を合わせてしまった。

即座に立ち上がり、走り出す。


「なんで逃げるの~?」

「うっさい!着いてこないで!」


あたしが大声でそう叫んだ、その直後だった。

前方から熊のような大柄の男が現れ、あたしの腕を強引に掴んだ。


「ちょっと!何すんのよ?!離して!」

「大人しくしないとどうなるか分かってるよね?」

「うっさい!離せブスっ!」


あたしがわーわー騒ぐと、図体の大きい方があたしを担ぎ出しだ。


「な、何すんの!止めて!下ろして!」


しかし、叫んでも無駄だった。

あたしはそのまま人気のない茂みの中まで連れて来られ、乱暴に投げられた。

そして、痩せてる方が馬乗りして来て、あたしの全身を舐めるようにじっくりと見た。


「ずいぶん旨そうな身体してんな」

「あたしより旨そうな女ならいくらでもいるでしょ?あたしを欲の捌け口にしないで!」


ラムネの瓶で殴ってやろうと思い、渾身の力で手を振り上げると、やつに手首を掴まれた。

あたしの手から力が抜け、瓶が地面に落下した。


「そのうるさい口は頂けないな」

「止めて!来ないで!」


近付く顔にあたしは別の人物を思い浮かべた。

......魁。

魁、お願い......

助けて。


「助けて!魁っっ!」


と、その時だった。

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