青い夏の、わすれもの。
「何してんだ、テメー！」


やつの背後からヒーローが現れた。


「魁...」


魁はあたしからやつを引き離すと2発顔を殴り、さらに3回腹を蹴った。

やつは地面にひれ伏して悶えた。


「爽行くぞ！」


魁があたしの手首を掴み、逃げる態勢に入ったが、茂みからごそごそと音が聞こえた。

敵はまだ残っていた。

図体の大きな方が魁の瞳をぎらりと覗き込む。

だけど、魁は怯むことなくやつにパンチを繰り出した。

やつはそれを左手で受け止め、右手で魁の頬を殴った。


「魁っ！」

「くそ！こんなやつに負けてられっか！」


何度も蹴りやパンチを繰り出すもののやつの動きも相当切れが良かった。

やつを仕留めるには、不意を打つしかない。

あたしは咄嗟にそう思い、全身の力を声帯に集中させ、大声を張り上げた。


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