青い夏の、わすれもの。
そんなあたしのどうでもいい話に深月さんは笑顔を浮かべている。

八方美人タイプかと合点がいく。

こういう清楚系には多いんだよね~。

なんでもかんでもニコニコして、楽しそうに相槌打ってれば嫌われないって思ってるんだろう。

腹割って話すことない秘密主義な面もあって、あたしには理解し難いタイプ。

はっきり言うと苦手。

何でも出来て先生からのウケも良くて、男子からの好感度も高い優等生。

あぁ、寒気がしてきた。

こんな話どうでもいいからさっさと決着をつけよう。

あたしは最後の一球を投げた。


「深月さんってどんなタイプが好きですか?うちの部、そこそこイケメンもいますし、良ければ紹介しますよ。あ、でも、深月さんの感じだとサッカー部とかの爽やか少年の方がタイプですかね?あぁ、気になるぅ~」


あたしのその発言に深月さんは暗い影を落とした。

射し込む夕日に照らされて出来る影が、より一層黒くなっていくような気がする。

さすがにデリカシーが無さすぎたかも。

謝るしかないか。

でも、なんて謝ればいい?

いや、謝るより帰った方がいいかも。

仕事の邪魔されて不機嫌なのかもしれないし。


「あの、深月さん...あたし、これで...」


そういいかけたところで耳がキャッチした。

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