青い夏の、わすれもの。
「あっ!UFOっ!」


魁...今だっ!


「おりゃーっ!」


魁はレスリング選手のタックルのごとくやつの腰に飛び込み、そのまま地面に押し倒した。

あたしはやつの顔面に持参していた日焼け止めスプレーをかけた。

女子で良かったと心から思った。


「うっ!なんだ、これは?!目がっ!目が痛い!」

「うっさい!このド変態野郎っ!2度とこんな真似すんじゃないっ!バカ!アホ!おたんこなす!」

「おい、爽行くぞ」


あたしは魁に強引に腕を掴まれ、ふらふらながらも走り出した。

なんだかんだあったけど、魁の手のひらから伝わる温度で、全てを許そうと思った。

あたしは、汗が額から首筋に滴る魁の横顔を見つめた。

こんなにびしょびしょになるまで戦ってあたしを守ってくれた。

あたしの胸にチリンと風鈴の音がなり、それを合図に瞳から星屑が溢れた。

風に乗って運ばれ、夜空に流れてほしい。

あたしの願いはただ1つ。

過去も今も未来もずっと

たった1つだけ。


魁と一緒にいたい。


ただそれだけ。

だから、叶えてよ。

お願い、神様。






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