青い夏の、わすれもの。
あたしたちは、追い付かれないように、とにかく走って走って走って走りまくった。

人気の多い河川敷までやって来るとようやく安心して腰を下ろした。


「はぁはぁはぁ...死ぬかと思った」

「何情けないこといってんの?ってか、全然余裕だったじゃん」


なんて言っちゃったけど、余裕なわけない。

ほんと、怖かったし、追い付かれたら殺されるかと思ったし。

足は痛いし...。

それでもあたしは笑っているしかなかった。

魁に泣き顔見せて心配してもらおうだなんて、そんなあざといことは考えなかった。

魁は息切れしながらも口を動かす。


「余裕なわけねぇだろ...。そもそもなんであんなやつらにひょこひょこ着いて行くんだよ?」

「は?着いてってないし。あいつらが勝手にあたしの身体見て旨そうだとか訳分からんこと言って連れ去ったんだし」

「はは。爽エサかよ」

「何笑ってんの?ちょっとは心配しなさいよ!あたしだって怖かったんだから!魁がいなくなって寂しかったんだから!」


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