青い夏の、わすれもの。
私は結局その場で決断出来ず、夕食の時もずっと考え込んでいた。


「華どうしたの、ぼーっとして?具合でも悪いの?」

「エアコンはちゃんと付けてるか?遠慮しないで付けていいんだからな。熱中症になると大変だから」

「あ、うん...」


私はひとまず思考をシャットダウンし、箸を動かした。

とりあえず口いっぱいに詰め込んで飲み込めば忘れられると思った。

私は母特製の南瓜コロッケを夢中で頬張った。


「うん...美味しい!今日の南瓜コロッケも甘くてホクホクしててすっごく美味しいね」


私は大好物のエビフライを尻尾までカリカリと盛大に音を立てて食べきるとごちそうさまと手を合わせた。

早くここから立ち去りたかった。

両親か友人かで悩んでいる自分に腹が立ち、両親に対して申し訳ない気持ちになった。


「華もうごちそうさまなの?」

「体調本当に大丈夫か?」

「うん。大丈夫。早く小論文仕上げたいから部屋戻るね」


と、そう言った直後のことだった。


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