青い夏の、わすれもの。
私の心の隙間にいつの間にかこんなにも温かく穏やかな心地よい風が吹いていたなんて知らなかった。

すきま風だったけど、徐々にそれは暴風に変わっていった。

どんどん勢力を増して私の心に甚大な被害を及ぼす。

私を守っていた大量の木々が薙ぎ倒された。

だけど、視界が開けてそこには眩しすぎる日溜まりが差し込んできていた。

そして、薙ぎ倒された木々の根元には小さな新芽が芽吹いていた。

私に新しい世界を与えてくれたのは、紛れもなく私の1番近くで吹いている風だった。

私は今、その風をどうしようもないほどに愛しく感じる。

離れていくと、追いかけたくなる。

この心を拐っていってと思ってしまう。

何度も何度も私に吹き下ろして来た風は、もう私の一部になっている。

だから、なくなられては困るんだ。

私は...失いたくないんだ。

私にだけ吹いていてほしいんだ。
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