青い夏の、わすれもの。
楽器をトラックに搬入し終えると、わたしたちは花火の打ち上げ開始時刻の19時30分までの自由時間に突入した。

花火が打ち上がっている間に移動すると渋滞に巻き込まれずに済む、ということで残念ながら花火は窓ガラス越しの鑑賞ということになった。

わたしは爽に時間までは一緒に遊ぼうと誘われていたけど、魁くんと来ることが分かっていたから、2人の邪魔をしたくなくて遠慮した。

だから、今日はぼっちだ。

それを利用して、わたしは一仕事を終えなければならない。

誰にも見られていない今日は大いなるチャンスの日。

1人で勝手に飛び出してぶつかって砕けてくるしか出来ない。

結果が見えているのに進むしかないとなると、かなり苦しい。

けど、あれもこれもそれも、全て自己責任における自業自得。

誰にも迷惑をかけずに済むのだから、それだけは本当に心から良かったと思う。

わたしはスマホで時間を確認した。

時刻は17時57分。

残り1時間30分で決着か...。

なんて言って尻込みしている場合ではない。

早くラインにメッセージ送らなきゃ。

わたしは素早く指を動かし、メッセージを送信した。

あとはもう返事を待って伝えに行くだけ。

おそらくこの会場のどこかにいる。

探し回ってもいいけど、1人でふらふらしててもなんだか虚しくなるから止めておく。

諦めてその場にしゃがみこもうとした、その時だった。

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